着物にシミや汚れを付けてしまった…こんな時には、部分洗いである「シミ抜き」で着物のシミを取ってもらうところですね。でも着物初心者の人は「着物のシミ抜き料金って相場はどれ位なんだろう」「着物のシミ抜きにいくらかかるんだろう」と悩んでしまって、なかなか着物をキレイにできないなんてことも多いのではないでしょうか。
ここでは着物のシミ抜き料金の相場について、着物のお手入れが初めての人にもわかりやすく解説していきます。着物のシミ抜き等のお手入れに悩んだ時の参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
着物シミ抜きの料金は「シミ一つあたり」で考える
着物のしみ抜きの料金相場を知るために、まず着物のシミ抜き料金のシステムについて知っておきましょう。着物の「丸洗い」と「シミ抜き」では、料金の考え方がまったく違うのです。
【着物の丸洗い】
着物を専用の機械で全体的に洗うドライクリーニングのこと。料金は着物1枚あたりで決まります。また、料金は着物の種類(振袖・留袖・袷・単)等で変動します。
ですから例えば「振袖のきもの丸洗いの料金相場」というのは1枚あたり8,000円~12,000円前後等と、比較的数値が出しやすいのです。
【着物のシミ抜き】
着物のシミ抜きとは、部分的な汚れを職人が手作業で落としていく洗浄工程のことを言います。シミの数が多ければ、それだけ汚れを落とすための手間がたくさんかかりますよね。そのため、シミ抜きの料金は「シミ1個あたりいくら」というように決められています。
シミが多ければ多いほど、着物のシミ抜き料金は数につれて高くなります。
例
シミ抜き料金1箇所500円(1センチ以下)のお店の場合
→ 1センチ以下のシミが3つあれば → シミ抜き料金は 500×3=1,500円
→ 1センチ以下のシミが6つあれば → シミ抜き料金は 500×6=3,000円
例えば「泥ハネ」等のように汚れが飛び散っていて何箇所にもあるタイプのシミの場合だと、着物のしみ抜き料金相場は高くなります。この点には注意しましょう。
着物シミ抜きの料金は「大きさ」で変動する
着物のシミ抜き料金の相場を知る上でもうひとつ知っておきたいのが、「シミ抜きはシミの大きさでも料金が変わる」という点です。大きいシミほど汚れを取るのが大変で難しくなるので、料金が高くなっていくというわけです。
着物のシミ抜きのお店で「シミ抜き600円~」等と最低料金が提示してある場合、この目安は「直径1センチ~2センチ程度」に限定されていることがほとんど。そこから直径が1センチ大きくなるごとに、少しずつシミ抜き料金が上がっていきます。
おおまかなシミ抜き料金相場は以下のとおりです。
【シミのサイズごとの着物シミ抜き料金相場】
- 直径1センチ以下のシミ 1,000円~1,800円
- 直径1センチ以上~2センチ以下のシミ 2,000円~2,700円
- 直径2センチ以上~3センチ以下のシミ 2,500円~3,500円
- 直径3センチ以上のシミ 4,000円~
着物シミ抜きの料金は「古さ」で変動する
上で紹介した着物のシミ抜き料金の相場は、最近付いた汚れのもの(変色をしていないもの)です。あなたの着物のシミ、最近付いた新しい汚れですか?
着物のシミの中には、何年も時間が経っていく中で汚れが酸素と結びついて酸化し、変色をしている「黄変シミ(変色シミ)」があります。この黄変(変色シミ)は一般的なシミ抜きの対処法では取ることができません。
漂白をしたり、より強い洗浄剤を使用したり等、高度なシミ抜きのワザ(黄変抜きといいます)が必要になります。そのため古いシミ、黄変シミ、変色シミのシミ抜き料金相場は、一般的なシミの料金相場に比べて高いのです。
【古いシミ・変色シミの着物シミ抜き料金相場】
- 直径1センチ以下のシミ 1,500円~3,000円
- 直径1センチ以上~2センチ以下のシミ 3,000円~4,000円
- 直径2センチ以上~3センチ以下のシミ 3,500円~5,000円
- 直径3センチ以上のシミ 5,000円~
※黄変の状態がひどく染色補正(色の染め直し、柄の付け足し)等が必要になる場合、別途染色補正のための料金が必要になります。
古いシミの見分け方
次のようなシミはほとんどの場合、古いシミ(黄変シミ)です。
- 白色・薄い色の着物にできた「黄ばみ」
- ポツポツとできているオレンジ・茶色のシミ(白カビの黄変)
- 広範囲に広がっているオレンジ・茶色のシミ(汗汚れの黄変)
裏地の黄変シミはシミ抜きできない
裏地(胴裏等)にできている古いシミ(黄変シミ)は、残念ながらシミ抜きをすることができません。裏地は薄くてデリケートなので、漂白等をすると布地が壊れてしまうからです。
裏地の変色シミが気になる場合には、裏地を交換する加工をお願いするか、着物の仕立直しが必要です。
「着物シミ抜き」単体で依頼できる店ですか?
着物のシミ抜きの料金相場を調べるためにお店の料金表を観る時、気をつけておいてほしいことがあります。その着物クリーニングのお店、「シミ抜きだけ」を依頼できますか?
シミ抜き(部分洗い)の扱いは、お店によって微妙に違うのです。
【シミ抜きがオプション扱いの店の場合】
シミ抜き単体での依頼はできず、丸洗いを依頼した上で、さらにシミ抜きを依頼する形になります。
例
丸洗い料金 6,000円
シミ抜き料金 1箇所800円
→ 合計料金 6,800円
洋服をメインで行っているクリーニング店や、最近できた新しい着物クリーニングのお店、宅配のみでサービスを行っているお店(店頭対応が無いお店)だと、シミ抜きがオプション扱いとなっていることが多いです。
【シミ抜きが単体メニューになっている店の場合】
シミ抜き(部分洗い)だけの依頼を行うことができます。全体的な汚れがほとんどなければ、丸洗いをしなくても大丈夫です。(ただし何年も丸洗いをしていない着物の場合は丸洗いをした方が良いです)
例
シミ抜き料金 1箇所1,000円
→ 合計料金 1,000円
昔から着物のクリーニングを扱っているお店や、着物の伝統的なお手入れの専門業者である悉皆屋(しっかいや)等だと、シミ抜きを単体で依頼できるお店が比較的多い傾向です。
見積もり無料の店がおすすめ!
着物のシミ抜きの料金は、上で案内したとおり「シミの数」「シミの大きさ」「シミの古さ」で変動します。「シミ抜きの料金」は着物の状態によって大きく変わってしまうわけです。
そのため「着物のシミ抜きの料金相場」の情報だけを鵜呑みにして着物シミ抜きのお店を決めてしまうのは危険です。かならず「見積もり」を事前に出してくれるお店に依頼をしましょう。
見積もり無料のお店であれば、予算に合わない場合にはキャンセルをすることができます。着物のシミ抜きの料金相場がよくわからない…という時にも、無料見積もりをとってくれるお店ならば安心ですね。
おわりに
着物のシミ抜きの料金相場について解説していきましたが、料金の仕組みや料金変動の要素等は伝わったでしょうか?
古いシミが着物のあちこちにたくさんある…といった場合だと、着物のシミ抜き料金はとても高くなってしまうことも。必ず事前に見積をとってもらって、予算にあうか確認しましょう。
なお着物買取業者の場合、シミがある着物でもそのまま引き取ってくれるというところも多いです。シミがある着物を手放すということであれば、わざわざ自分でシミ抜きを依頼するより、そのまま売った方がオトクかもしれませんね。