着付けハウツー

着物半襟選び

半襟の選び方やお手入れを知って、着物姿をランクアップ!

着物の着付けに欠かせない小物と言えば「半襟(はんえり)」。襟元からほんの少し見せる「半襟」には、着物姿を更に引き立たせる効果があります。でも半襟選びを誤ってしまうと「マナー違反」なんてことも。また汚れた半襟を付けたままにしていたら、着物姿の魅力も半減です。

半襟の正しい選び方やお手入れ方法を知って、美しい着物姿を完成させたいですね。今回は半襟の種類や選び方のポイント、お手入れ方法等についてご紹介していきます。

半襟(半衿)とは?どんな種類があるの?

半襟(はんえり)とは、長襦袢に縫い付けて着物の襟元からチラリと見せる「見せ衿」のこと。「半衿」と書くこともあります。元々は頻繁に洗えない着物の「汚れカバー」として使われていたのですが、徐々にオシャレ目的で使用されるようになりました。現在では着物のコーディネートの格を決める要素のひとつともなっています。

半襟は大きく分けて「白半襟(しろはんえり)」とその他の色物・柄物の半襟に分けることができます。それぞれの用途や使用シーンについて知っておきましょう。

【白半襟】
その名のとおり、色の入らない真っ白な半襟のこと。白い半襟は「正装(フォーマル)」を示す意味合いがあるので、以下のような時には必ず白い半襟を付けます。

・結婚式等の慶事
・通夜葬式・法事等の弔事

慶事の場合には、白地に白・金・銀の刺繍が入った半襟等を付けてもOK。襟元が華やかな印象になります。反対に弔事の場合や控えめなコーディネートが求められる場では、刺繍等が入らない無地の半襟を使用します。

なお白半衿は「フォーマルの時にしか付けてはいけない!」というものではなく、普段遣いにしてもOK。「これから初めてお着物を準備する」といった場合には、幅広いシーンで使用できる白半衿を用意しておくと良いでしょう。

【柄の半襟・色の半襟】
白色以外の半襟は、「色半襟」という扱いになります。礼装・正装向けである白半襟とは異なり、色物・柄物の半襟は「オシャレ用」といった存在です。ただしごく薄い色・淡い色の半衿(薄いピンクや草色・クリーム色)の場合、以下のようなシーンでお使いいただけることもあります。

・入学式・入園式
・卒業式・卒園式
・七五三 等

反対に色が濃い半衿は「カジュアルさ」を示すアイテムとなるので、気軽なパーティーや街着向きということになります。一般的には、「地色と柄(刺繍)等の色が大きく違うもの」「着物と同系色ではない半衿」になるほどカジュアルな装いになるので、その点を覚えておくと良いでしょう。

半襟の素材はどんなものが良い?

「半襟を買おう」と思ってネットや呉服店を覗いてみたけど、色々なものがあってどれが良いのかわからない…そんな時には、色や柄行だけでなく「素材」に着目してみましょう。一口に「半襟』と言っても、様々な素材から作られたものがあるのです。

【半衿の素材】
・正絹(絹・シルク)
・ポリエステル
・麻
・交織 等

この中で最も「定番」とされているのは「正絹(絹)」の半衿。ただし正絹素材の場合、自分で半衿を外して洗うのがちょっと面倒。正絹はとてもデリケートな生地なので、洗うと色落ちをしやすかったり・光沢感が失われることもあります。また麻素材も縮みやすいのがネック。万一の色落ち等がご心配な場合には、これらのデリケート製品はクリーニングに出した方が無難です。(和装に対応したクリーニング店の場合、半衿は長襦袢に付けたままでクリーニングに出しても大丈夫です)

「着物をよく着るから、半衿をいつもキレイにしておきたい」「着物にかかるクリーニング代を少しでも抑えたい」という方の場合には、お手入れがしやすいポリエステル素材がおすすめです。ポリエステル半衿は縮や型崩れをしにくく、ご自宅でもお手入れを簡単に行なえますよ。

半衿は首まわりの汗ジミが付きやすい箇所で、同時に「汚れが人に見えやすい」という特徴も持っています。洗わずに半衿を繰り返し使う…なんてことをすると、素敵な着物姿が台無しに。1年に何回くらい半衿を使うか等を考えながら、素材を選んでいきたいですね。

半襟の「織り方」にも要注目!季節に合わせる半襟のマナー

「お母さんの半襟があったから、これを長襦袢に付ければいいかな?」…ちょっとその前に、半襟の「織り方」もチェックしておきましょう!半襟に使われる素材の「織り方」で、合わせられる着物や使える季節も変わってくるんです。

塩瀬 (しおぜ)

塩瀬とは、縦糸に対して横糸に太いものを使って織った「羽二重(はぶたえ)」風の織物のことを指します。横の畝がよく見えるのが特徴です。塩瀬は袷(あわせ)の着物に合わせるのが一般的。秋(10月頃)から翌年の初夏前(5月頃)まで使用できます。

絽(ろ)

絽とは、複数ほんの縦糸を撚り合わせながら横糸を入れて織った織物で、塩瀬等に比べて糸目がすかしてあり、「透け感」があるのが特徴です。洋服でいうとシースルー素材のような見た目ですね。

涼やかな見た目の絽の半襟は、6月~9月の夏の単の着物にピッタリ。絽は夏のフォーマルに使える織物なので、留袖・訪問着・色無地等、夏向けの礼服に合わせるのにも向いています。麻で作られた絽(麻絽)は、特に7月~8月上旬の盛夏におすすめです。

紗(しゃ)

紗も絽と同じく、糸目がすかしてあるシースルー風の織物です。こちらも6月~9月の夏向けの半襟となります。なお絽よりも更に折り目が粗いため、絽が夏のフォーマル向けなのに対し、紗はセミフォーマル~カジュアル向けの着物によく合わせられます。

楊柳(ようりゅう)

楊柳とは「楊柳ちりめん」を略したもの。生地の縦方向に柳の枝のように揺れるシボがあるのが特徴です。凹凸があるため肌にピッタリと付かないので、少々暑くなった時にもサッパリと付けられるのがメリット。ただしやや厚手に見えるので、真夏には向きません。5月や9月といった「夏の単を着るのはちょっと早い」「冬の袷を着るにはまだ暑い」と言った時の着物に合わせると似合います。

縮緬(ちりめん)

縮緬とは、強い寄りをかけて織ったものを精錬し、縮めて全面的にシボを出した織物です。撚り方によって様々な形の凹凸が生まれます。生地自体に厚み・ボリューム感があるため、どちらかいうと秋~翌春、中でも11月~2月頃の寒い時期に向いている半襟とされています。
呉服店等でこれから半襟をお買い求めになる時には、何月頃に着用する予定のものなのか、またどんな着物に合わせる予定なのかを伝えて、相談しながら購入をされると良いでしょう。

半襟の価格はいくら?どれくらいのものを買えばいい?

「ネットで半襟を買おう」と半襟探しを始めたものの、値段が開きすぎてどれがいいのかわからない…という人も多いかも知れませんね。半襟は化繊で安いものだと500円程度で売っていたりしますし、正絹でたっぷりと素材を使った贅沢なものは無地でも7,000円以上、刺繍入りのものだと20,000円~30,000円!というものが珍しくありません。男性の「ネクタイ」や女性の「スカーフ」と同じで、簡易版もあれば贅沢版もある…といった具合なんです。

もちろん高級品が手に入り、着物やシーンに合ったものであれば、それに越したことは無いでしょう。しかしこれから半襟をお買い求めになる場合、どのような文化やお習い事等でも同じですが、「初めて挑戦する」という時にあまり高級品・贅沢品を無理してお揃えにならない方が良いのでは…とも思われます。特に正絹素材はお手入れや保管にも気を使います。気楽に買えて、気楽にメンテナンスができる価格のものの方が良いのではないでしょうか。

ただ「とにかく安いもの!」というのは避けたいところ。あまりに安すぎる半襟は襟の形が崩れやすいですし、長襦袢にも縫い付けにくいというデメリットがあります。

【目安にする半襟の最低価格と相場】(無地の半襟の場合)

  • ポリエステル・化繊繊維 1,000円~2,000円
  • 正絹:2,000円~3,000円

上記の価格を目安にしながら、お品物を探してみましょう。

中古半襟はNG?

現在ではネットオークション等で中古の半襟が売られていることも多いもの。新品価格よりも更に安いので、「こっちにしようかな」と考えている人も多いと思います。しかしお着物に慣れていない方の場合、半襟の中古での購入はあまりおすすめできません。以前に使用されていた方がどのようなお手入れをされていたかがわからないからです。

特にネットでは、「中古・美品」と言われていても実際には生地がホームクリーニングで縮んでいたり、生地がヨレてしまって長襦袢に取り付けにくいということがあります。せっかく頑張って長襦袢に取り付けても、形が崩れて襟元が汚らしい…なんてことも。
また半襟はとても汚れやすい箇所なので、きちんとメンテナンスを行っていないと汚れが残ってしまっていたり、保管が甘くてカビ菌が繊維の中に生えている…という可能性も考えられます。「その時の安さ」に飛びつかない方が安心ですよ。

知っておきたい半襟の洗濯・お手入れ方法

汚れやすい半襟は、使うたびにクリーニングをしておきたいところ。でも毎回クリーニングに出すのは大変ですよね。自分で洗う方法を知って、気軽に着物を着られるようにしましょう。

洗濯機で洗う場合

ポリエステル等の化繊素材の半襟は、洗濯機で洗うことができます。

【用意するもの】

  • 中性洗剤(おしゃれ着洗い用のもの)
  • 柔軟剤もしくはヘアリンス
  • 洗濯用ネット(半襟の大きさにあったもの)
  • タオル
  • アイロン
  • ハンガー

【洗濯の手順】

1)半襟を長襦袢から外し、洗濯用ネットに畳んで入れておきます。
2)洗濯機の弱水流モード・手洗いモード等のおしゃれ着用の洗い方を選びます。すすぎ・脱水までの全コースではなく、「洗い」のみを選んでください。
3)洗濯機に中性洗剤を入れ、洗剤を十分に混ぜておきます。
4)洗濯用ネットを入れて、洗濯を開始します。
5)洗いが終了したら脱水をはさまずに「すすぎ」を行います。
6)すすぎ時に柔軟剤もしくはヘアリンスを少量入れます。
7)脱水をせずに洗濯機から取り出し、タオルで挟むようにして水気を取ります。
8)生地が濡れている間にアイロンをかけます。完全に乾かしきらず、半乾きの状態でOK。生地を少し引っ張るようにアイロンがけをするのがコツです。
9)シワが取れたらハンガーにかけて形を整え、影干しをして乾かします。

※洗濯機の脱水にはかけないでください。
※レース、刺繍、手書き、金箔、銀箔、縮緬等の半襟は縮みや風合い劣化が起こりやすいので、洗うことができません。クリーニング店に依頼をしましょう。

手洗いをする場合

正絹や麻等、洗濯機では洗いにくい半襟には手洗いを選びます。

【用意するもの】

  • ・中性洗剤(おしゃれ着洗い用のもの)
  • ・洗面器等の容器
  • ・柔軟剤もしくはヘアリンス
  • ・タオル
  • ・アイロン
  • ・ハンガー

【洗濯の手順】
1)半襟を長襦袢から外しておきます。
2)水~ぬるま湯(30℃以下)を容器に入れ、中性洗剤を適量溶かします。
3)半襟を付けて柔らかく押し洗いをします。
4)汚れが気になる部分は、軽くつまんで力を入れずに洗います。
5)水ですすぎを1回行います。
6)容器に水を張り、柔軟剤かヘアリンスを少々入れて溶かし、半襟を漬けます。
7)もう1回水で濯ぎを行います。
8)容器から上げた半襟を絞らずにタオルで挟み、水気を取っていきます。
9)生地が濡れている間にアイロンをかけます。生地を引っ張るようにしてアイロンをかけると仕上がりがキレイです。完全に乾かさず、半乾きに仕上げます。
10)ハンガーにかけて形を整え、陰干しで完全に乾かします。

※濃い色の半襟の場合、必ず事前に目立たない箇所に中性洗剤の溶液を付け、変色・脱色等が起こらないかテストをしましょう。特に正絹素材は濃色の色落ちが起きやすいです。
※レース、刺繍、手書き、金箔、銀箔、縮緬等の素材は縮みやすいため、手洗いでも洗うことができません。お近くの和装対応のクリーニング店にご相談下さい。

おわりに

フォーマルの場の美しい白い半襟は、改まった場の装いを引き締めてくれる存在。またカジュアルな場で色柄の半襟を加えると、オシャレ感がグッとアップします。上手に半襟を使いこなして、着物をもっと楽しみたいですね。

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