着物や浴衣に挑戦した時、「なんだか顔が暗く見える」「顔だけ浮いて見える」と感じたことってありませんか?着物は色味や柄行が普段来ている洋服とは大きく異なるため、洋服と同じメイクのままだと雰囲気がチグハグになったり、顔が着物に負けて地味に見えてしまうこともあります。
着物に合うベースメイクは?
カバー力のある下地を使う
着物では、明るい色味がお顔の近くに来ることが多いですよね。薄い色味には顔色を明るく見せる効果はあるのですが、お色味によってはお肌の荒れが目立つこともあります。そのため和装の場合、ベースはしっかりと作っておいた方が良いんです。ただファンデーションを過剰に塗ってしまうと、お化粧が崩れやすくなってしまいます。カバー力のある下地で、お顔の気になる部分を隠してしまいましょう。下地選び・塗り方では以下の点に気をつけます。
1)パールが入ったものを避ける
2)3D効果等、色味変化が強いものは避ける
3)首・襟足・耳周辺等にも塗っておく
ファンデーションはリキッドorクリームで
かつての日本のお化粧では、ベースメイクは「水白粉(みずおしろい)」や「練り白粉(ねりおしろい)」を使うのが基本でした。これらは粉白粉を乳液や油等に溶かし込んだもので、肌を平面的に白く見せる働きを持ちます。
水白粉を手懐けるまで練習…
むっずい… pic.twitter.com/W2uONpYdF0— ちゅら@4/30コミック1 あ54a (@chura6666) 2018年2月11日
ねりおしろいを使いよるけど
めちゃくちゃ面倒くさいけ
普通に白のドーランの方がいいと思うよムラが出にくいと思う🤔
白塗りは三善っていうメーカーが結構有名! pic.twitter.com/j3e8olHKC0— ゆしコ・ポーロ。 (@_yu_shi_shi) 2018年4月28日
現代の和装メイクでも、ベースは「平面的」に白く明るく見せた方が着物との相性が良くなります。
現代のメーキャップ用品で練白粉等にあたるのが、リキッドファンデーション、もしくはクリームファンデーションです。パウダーファンデーションの場合、現代の製品ですと「単品使用でふんわりと立体的に肌を作る」ということを意識しているため、洋風の顔立ちになってしまいます。ファンデーションを使用する際には、以下の点にも気をつけましょう。
1)ラメやパールが入ったものを避ける
2)仕上がりがマットなものを選ぶ(ツヤ感が出ないように)
3)着物を着る前に、首~首の後ろ(襟足)、耳の周辺にもファンデーションを塗っておく
お色味は、肌色が通常~白目の方の場合には普段どおりのものでもOKです。やや色黒~肌を焼いているという方の場合、下地+ファンデーションで肌色をいつもより白く明るく見せます。
着物への汚れ移りを防ぐ
リキッド・クリームタイプのファンデーションだけを塗った状態だと、半衿や着物の襟元にファンデーションが移ってしまうことも。ファンデーションは油が多いため、一度付いてしまうとキレイに落とすことがなかなか難しくなってしまいます。正絹の着物の場合等には、和装クリーニング店等の専門店に依頼をしないとキレイに落とせないことも。ファンデの落ちを防ぐために、お粉(ルースパウダー)で軽く仕上げをしましょう。
1)ルースパウダー・プレストパウダーは、ラメ等の入らないものを選びます。ファンデーションの色味に近いものを選びましょう。
2)顔の輪郭部分(フェイスライン周辺)のみに、薄くパウダーをはたきます。
3)何もつけていないブラシ、もしくはパフで顔を撫で、余計な粉をしっかりと落とします。
着物に合うアイメイクは?
アイラインの入れ方に一工夫
アイラインは目の印象を変えてくれる大きなポイント。ただ洋服の時のように「パッチリ目」に見せる跳ね上がるようなアイラインを引くと、目ばかりが浮いてしまいます。二重の方でも「切れ長風」の目元を意識した方が、着物との相性が良くなるんです。また普段ノーメイク派の方・アイメイクをしないという方でも、30代~40代以上になったらアイラインは入れましょう。年齢を重ねると目元がボヤけやすく、お着物に顔が負けやすくなります。
1)目尻から跳ね上げないように、外に向かって自然にスッとラインを入れる
2)目を伏せた状態でラインが僅かに見えるように、細いラインを目元に入れる(インラインはNG)
アイライナーは、ペンシルタイプだとふんわりと優しい上品な雰囲気に。リキッドタイプだとより切れ長な、キリッとした印象になります。
アイシャドウは質感と色選びにこだわって
アイシャドウでは、あまりグラデーションをこってりと作らないのが和装メイクのポイント。アイホールの陰影を強調してしまうと洋装風の顔立ちになります。ラメ・パールが強く入らず、マットなものを使った方がバランスが取りやすいです。
1)ベースカラーをほんのりとブラシでアイホールに入れます。
2)ポイントになる引き締め色を目元にラインのように入れます。下まぶたには色味を付けない方が良いです。
10代の若い方の場合、アイシャドウにあまり強い色を使うと「大人っぽい」というよりチグハグな印象に見えてしまいがち。ナチュラルベージュ等の柔らかな色味でアイメイクは控えめにして、リップメイクで全体を引き締めた方が顔と着物の調和が取れます。
20代~40代の方は、着物の地色や柄の色から一色を取り、アイメイクに取り入れてみても。パープル・グリーン等の色味をラインにちょっと入れるだけでも、洗練された雰囲気になります。
50代以上の方の場合、ブルー・グリーン等の強いお色味は目元を寂しく見せてしまいます。柔らかなブラウン、ローズ、ラベンダー等のお色味で、目元を若々しく優しく見せましょう。
マスカラは「伏せた目」を印象的に
洋服の場合のマスカラは、目を開いている時に「パッチリ」と眼力を出してくれるように作るのが一般的ですね。でも和装の場合、この塗り方はNG!ボリューム感ありすぎのマスカラ、盛りすぎのまつげは着物から相当に浮きます。また40代以上の方の場合、盛りすぎまつげが却って目元を老けて見せることもあるんです。着物の場合、まつげは目の「切れ長感」をアップさせるのがポイントとなります。
1)ビューラーはできるだけ使わないのが理想的。「まつげが完全に下向きだから、どうしてもビューラーをしたい!」という場合には、伏せた目にまつげが軽くかかる程度にごく軽くカールをかけます。部分用ビューラーで、目尻部分のみをほんの少しカールさせるのも手です。いずれにしても根本からバッチリ上げないように気をつけます。
2)マスカラはロングタイプのブラックを使います。ボリューム感は少なめで、きちんとセパレートするものが理想的です。マスカラは顔の外側に向かって伸ばし、目の横幅が強調されるようにします。
3)「まつげの量がちょっと物足りない」という時には、「目尻だけ」にマスカラ下地をつけて長さ・ボリュームを出してみてもOKです。
着物に似合う眉メイク・アイブロウは?
顔の印象を大きく変える眉のメイク。特に和装の場合、前髪をおろさずに眉を見せるヘアスタイルが一般的なので、眉は顔のキーポイントともなります。
できるだけストレートなラインを描く
和装向きの眉メイクでは、眉山の角度をしっかりつけないのがポイント!またカーブもあまり入れません。角度・カーブのある眉ほど、顔の上部を立体的に見せて「顔が浮く原因」となります。できるだけ自然に直線的な眉を描くように意識してみましょう。
眉尻を長く伸ばさない
通常ですと、眉尻は小鼻の先と目の端を繋いだ線上にあるのが好バランスとされています。ただ和装スタイルの場合だと、この眉尻はちょっと長すぎ。すんなりとした短めの眉の方が、「和服美人らしさ」が出るんです。眉尻は長くても目尻と同じ程度にとどめて、「ちょっと短め」を意識してみましょう。
着物に似合う頬のメイクは?
顔をふんわりと華やかに見せてくれるチーク。和装でもチークは使ってOKですが、使い方に少々コツがあります。
色味はあくまでも「ナチュラル系」
和装メイクの場合、チークはあくまでも「添え物」で、メインはリップメイクです。チークを濃く入れてしまうと顔立ちが立体的に見えて「派手派手しい印象」になるか、頬ばかりが目立つ印象になってしまいがち!チークの色系統はリップや着物に合わせてOKですが、あくまでも「薄付き・ナチュラル」な印象になる柔らかい色を選びましょう。「血色系チーク」等は避けてくださいね。
40代~50代以上の方で着物のお顔映りが気になる方は、肌なじみの良いオレンジ系や、ピンク系にごく薄くブラウン系を重ねた色味にするのもおすすめ。10代~20代の場合はあまり色を重ねず、ピンクベージュ~サーモンピンク等の肌に馴染みの良い色を選ぶと顔色が明るく見えます。
大きめブラシでふんわりチークを入れる
チークに付属するブラシや、練りチークを指でポンポンと付ける方法は、チークの色味を強く目立たせてしまうのでNG。できるだけ大きめのブラシを使って、頬骨の上(やや高めの位置)~こめかみを柔らかくなでるようにパウダリーチークを入れていきます。眉・口紅がしっかり入っていれば、チークは薄付きで大丈夫。「ちょっと薄いかな?」という程度でとどめておいた方が、後でバランスが取りやすいです。
着物に似合うリップメイクは?
和装メイクの最大のポイントとも言えるのが「唇」!洋服の時と「似合う口紅の色/質感」の差が一番大きいのも、リップメイクと言えます。
「ナチュラルカラー」はNG!?
ピンクベージュや柔らかなオレンジといった淡く肌なじみの良いリップやグロスは、洋服向けのメイクだと定番カラーですよね。でも唇の存在感を消してしまうこのようなナチュラルカラーは、着物には向いていません。顔の下側の印象が弱くなり、顔が着物に負けてしまうんです。特に和装メイクではベースや眉を「平面的」に作るので、唇にポイントを置かないと「のっぺらぼう」的に見えてしまうんですね。
和装向けのメイクでは、色味がハッキリとした口紅を使うのが基本です。最も定番と言えるカラーは朱色(黄味がかったレッド)、紅色(深みのあるレッド)。また着物の色味に合わせて、濃いめのピンク・ローズ等も使用します。
10代~20代で「着物に初チャレンジ!」という方の場合、赤みの強いリップを選んでリップメイクをポイントにし、その他をできるだけナチュラルにするのもおすすめ。20代後半~30代になったら、アイメイクとのバランス、着物の色味を考えながら「いつもよりちょっとハッキリ目」の色合いを選びます。40代以上の方の場合、着物のお色味がやや渋めになることが多いので、口紅のトーン(明度)も少し控えめにするとバランスが取りやすくなります。
質感は「マット」が基本
ツヤツヤ感を出すグロス、グロッシー系の口紅(オイルが入ったもの等)は、その質感が着物と合わず、唇を悪目立ちさせてしまいます。和装メイクの場合、唇はマットでテカリ・ツヤ感を目立たせないのが基本。「普段はグロス派」という人も、和装の時には口紅に挑戦してみましょう。またリップの上から塗るリップクリームやリップバーム等も、あまりツヤ感を出さないものを選んでください。
リップメイクは輪郭をしっかり取って
着物メイクでは、リップはキッチリと塗るのが基本。指でポンポンと付けるといった方法はカジュアルさが目立ち、着物とのバランスが取りにくくなります。また「血にじみリップ」のようなグラデーションを付けるのも避けた方が無難。唇にも立体感をあまり出さず、平面的に仕上げるのがポイントです。
1)リップの鮮やかな色を目立たせるために、唇の地色を消します。ベースメイクの際にファンデーションを唇部分まで塗っておくか、コンシーラーを使いましょう。
2)口紅と同系色のペンシルライナーがある場合には、ライナーを使って輪郭を取ります。ペンシルが無い場合には、リップブラシ(紅筆)を使いましょう。
3)リップラインは唇の自然なラインに合わせてOK。オーバーリップ等にすると唇ばかりが目立ってしまうので、ナチュラルな輪郭を描くようにします。
4)ラインの内側を丁寧に紅筆で塗ります。
5)一度軽くティッシュで抑えます。
6)塗る→ティッシュで抑えるを何度か繰り返します。薄く塗って抑えることを繰り返すと、口紅の色が落ちにくくなり、お化粧直しの回数を減らせます。
7)唇の乾燥が気になる場合には、最後にバームで唇を保護します。リップバーム・リップクリームはあまりたっぷりと塗らず、薄く塗るようにしましょう。