「家にある要らない着物、売ろうかな?」と考えている人は意外と多い様子。でも実際に売る前に気になるのが、買取価格がどれほどになるのか?ということです。できれば売る前に、着物の平均相場を知っておきたいですよね。
ただ、一口に「着物」といっても、実はその種類は様々あります。着物の種類や素材、状態…その他のちょっとした要因によっても着物の買取価格は変わってくるんです。
この記事の目次
- 1 訪問着・留袖・振袖…着物の種類で変わる買取価格の相場
- 1.1 訪問着の買取価格相場→8,000円~40,000円
- 1.2 付下げの買取価格相場→4,000円~20,000円
- 1.3 黒留袖の買取価格相場→5,000円~30,000円
- 1.4 色留袖の買取価格相場→4,000円~30,000円
- 1.5 振袖の買取価格相場→10,000円~50,000円
- 1.6 色無地の買取価格相場→3,000円~15,000円
- 1.7 小紋の買取価格相場→500円~12,000円
- 1.8 紬の買取価格相場→500円~100,000円
- 1.9 袋帯の買取価格相場→500円~15,000円
- 1.10 名古屋帯の買取価格相場→300円~20,000円
- 1.11 長襦袢の買取価格相場→100円~4,000円
- 2 買取価格は「素材」でも変わる
- 3 伝統工芸品や作家着物は買取価格大幅アップ!
- 4 買取価格が下がる理由と着物を高く売るコツ
- 5 さいごに
訪問着・留袖・振袖…着物の種類で変わる買取価格の相場
私達が普段来ている洋服にも、「フォーマル用」「普段着用」の服がありますよね。またフォーマル用の服でも、「ドレス>ワンピース>ツーピース」といった具合で、洋服の格や着ていける場所等も変わります。着物・和服もこれと同じで、フォーマル用の礼服・普段着用のものがあり、またそれぞれの着物で着ていける場所の幅広さ等も変わります。そのため着物の「種類」は、買取価格を決める大きな要素となるのです。
訪問着の買取価格相場→8,000円~40,000円
(中古品 8,000~15,000、完全新品+高級品20,000円~40,000円)
「訪問着(ほうもんぎ)」とは、胸~裾にかけて柄が一続きに入っている着物です。準礼装というフォーマル服として着られる着物なので、結婚式等の慶事イベント、入学式卒業式等の式典、観劇や茶会などにも着ることができます。ミス・ミセス共に着用できる着物で、使用範囲が非常に広いため需要が高く、買取価格はかなり高めです。
付下げの買取価格相場→4,000円~20,000円
(中古品 4,000円~10,000円、完全新品+高級品15,000円~20,000円)
「付下げ(つけさげ)」も、訪問着のように胸から裾にかけて柄が入る着物です。訪問着によく似ていますが、布をまたいで柄が続く訪問着に対して、付下げは柄が縫い目(布)をまたぎません。布の段階で柄が考えられてから仕立てられており、訪問着に比べて割安に作れることから、着物の格も「訪問着に比べると少しカジュアル」という扱いになります。
カジュアルウエディング等であれば着用をすることもできますが、訪問着に比べるとフォーマルとしての着用範囲がやや狭い傾向です。そのため買取価格も訪問着よりは下がります。
黒留袖の買取価格相場→5,000円~30,000円
(中古品 5,000円~12,000円、完全新品+高級品20,000円~30,000円)
「黒留袖(くろとめそで)」とは、裾の部分(帯より下)に柄が入っていて、地色が「黒」の着物です。結婚式に花嫁・花婿の母親、親族等のミセスが着用します。黒留袖は昭和時代には「誰もが持つ礼服」というものでした。取扱が多いポピュラーな着物である分、いわゆる「安物」が少なくありません。そのため素材や刺繍の入り方、柄行等で買取価格が大きく変動します。
色留袖の買取価格相場→4,000円~30,000円
(中古品 4,000円~12,000円、完全新品+高級品20,000円~30,000円)
「色留袖(いろとめそで)」は、裾の部分(帯より下)に柄が入っていて、地色が「黒以外」の着物です。黒留袖と同じくミセスが着る最高のフォーマル服となっています。ただこちらも訪問着に比べると需要が少ないので、買取価格は少し下がります。
振袖の買取価格相場→10,000円~50,000円
(中古品 10,000円~40,000円、完全新品+高級品40,000円~50,000円)
「振袖(ふりそで)」は袖の部分が非常に長い着物です。未婚の女性が着る最高格のフォーマル着物で、成人式、卒業式、お正月、お見合い等に使用されます。最近では成人式での着用が最も有名ですし、需要も高いです。また華やかな振袖は海外からの人気も高いので、比較的高価格帯で買取が行われています。
色無地の買取価格相場→3,000円~15,000円
(中古品 3,000円~8,000円、完全新品+高級品10,000円~15,000円)
「色無地(いろむじ)」は、柄の入らない無地の着物で、布地の色が黒以外のものを指します。布地によく見ると文様が入っていても「一見して無地」という場合には「色無地」の扱いです。家紋が入らない色無地は普段着の着物で、一つ紋が入った着物はお茶会等によく使われます。
色無地は「着物が好きな方(和の稽古事をされる方)」からは重宝される着物なのですが、ふだん着物を着ない方からの需要が非常に低い着物です。例えばレンタル等で色無地を借りたがる人って、ほとんど無いんですよね。また柄が入らないので、海外からの人気もあまりありません。そのため美品であっても中古の色無地の買取価格はやや低くなる傾向にあります。
小紋の買取価格相場→500円~12,000円
(中古品 500円~7,000円、完全新品+高級品8,000円~12,000円)
小紋(こもん)とは、柄が続かずに着物の中のあちこちに散らばっていたり、チェックや縞柄、水玉のように全体に柄が入っている着物のことを指します。小紋は普段着向けのカジュアルな着物なので、結婚式や式典、あらたまったパーティー等には着ることができません。そのため中古着物としての需要は低めで、買取価格も下がる傾向にあります。ただし伝統工芸品(江戸小紋等)の場合には、普段着着物の小紋も一気に高額買取となることもあります。
紬の買取価格相場→500円~100,000円
(中古品 500円~7,000円、完全新品+高級品50,000円以上)
紬(つむぎ)とは、生地に色を染め付けた着物ではなく、糸を染めて模様を織リ出す着物のことを指します。カジュアルに着る普段着用の紬から、非常に高級である伝統工芸品までその幅が広いのが特徴です。普段着向けの場合は小紋と同じく安めの買取価格になりますが、伝統工芸品だと一気に買取価格が跳ね上がります。
袋帯の買取価格相場→500円~15,000円
(中古品 500円~7,000円、完全新品+高級品10,000円~15,000円)
袋帯(ふくろおび)とは、袋のように表と裏地を縫い合わせてあって、幅が全体的に同じである帯のこと。留袖や訪問着等に合わせ、礼装用(フォーマル向け)として使われることが多い帯です。
着物に比べて帯は着用感(使用感)が出やすいため、中古品ですと買取価格が下がります。
名古屋帯の買取価格相場→300円~20,000円
(中古品 300円~8,000円、完全新品+高級品10,000円~20,000円)
名古屋帯(なごやおび)には、「八寸名古屋帯」と「九寸名古屋帯」があります。九寸名古屋帯は表地・裏地がひとつになっていて、太鼓部分だけが太くその他が半巾に仕立てた「名古屋仕立て」が多いです。八寸名古屋帯は厚め・硬めの生地で、九寸帯よりもカジュアルシーンに使われることが多い帯として知られています。ただし綴れ八寸名古屋帯はセミフォーマルとしても使える高級品で、美品の場合には高額買取となることもあります。
長襦袢の買取価格相場→100円~4,000円
(中古品 100円~1000円、完全新品+高級品2,000円~4,000円)
長襦袢(ながじゅばん)とは、着物の中に着込んで裾・袖からチラリと見せるインナーです。肌にあたる部分が多いため、中古品があまり好まれません。そのため中古品の場合、買取価格は100円程度になってしまうことも多いです。業者によっては、中古の長襦袢は買取不可ということもあります。
買取価格は「素材」でも変わる
着物の買取価格は、上記の着物の種類だけではなく「素材」でも変わってきます。
正絹(絹)
もっとも好まれる高級素材です。訪問着・留袖等の礼服の場合、基本的には正絹であることが高額買取の条件となります。
麻
夏用の着物によく使用される素材です。伝統工芸品等の場合には高額買取となることもあります。しかし工芸品・作家製品ではない場合、中古着物を販売できる期間が限られてしまうため、麻素材の着物は買取価格が下がることもあります。
綿
綿の着物は、一般的な着物(小紋等)の場合には買取価格は安めです。500円~1,000円以下となることもあります。しかし綿を使った伝統工芸品着物の場合には、数十万円レベルの高級品として扱われることもあります。
ポリエステル
いわゆる化繊(化学繊維)の着物です。「家で洗える着物」等の場合には、ほとんどの場合ポリエステルもしくはポリエステル混紡と考えた方が良いでしょう。訪問着・留袖等でも、ポリエステル混紡の場合には価値が大きく下がるため、買取価格が大幅に下落するか、買取不可となることがあります。
ウール(毛)
冬用の普段着着物等によく使用される素材です。絹や麻同様に自然繊維ではあるのですが、虫害(虫食い)の被害に遭いやすいため、中古着物業界ではかなり嫌われる素材です。ウールの小紋等が買取不可という業者は珍しくありません。基本的には高額買取にはならないと考えた方が良いでしょう。
伝統工芸品や作家着物は買取価格大幅アップ!
洋服やバッグ等の場合、中古品でも高く買ってもらえるのが「ブランド品」ですよね。CHANELやルイ・ヴィトンのバッグ、エルメスのスカーフやティファニーのアクセサリー等は誰もが知るブランド品で、本物であれば高く売れることも有名です。
着物の場合、このような「ブランド品」にあたるのが「伝統工芸品」と「有名作家の着物」です。伝統的な手法によって作られた反物を使った着物は貴重品であり、また有名作家の着物には世界中に多くのファンが居ます。100万円以上の高額で取引される超高級品も珍しくないのです。
【伝統工芸品の買取価格相場例】
・大島紬:30,000円~100,000円
・結城紬:50,000円~100,000円
・塩沢紬:15,000円~50,000円
・信州紬:10,000円~40,000円
・加賀友禅:20,000円~100,000円
・京友禅:10,000円~50,000円
・琉球紅型:20,000円~60,000円
・芭蕉布:100,000円~200,000円
・辻が花:200,000円~500,000円
【作家着物の買取価格相場例】
・久保田一竹100,000円~400,000円
・羽田登喜男100,000円~200,000円
・由水十久100,000円~160,000円
・志村ふくみ150,000円~250,000円
買取価格が下がる理由と着物を高く売るコツ
上記でご紹介した着物の買取相場は、きちんとした着物鑑定士が在籍する着物買取専門業者による買取で、なおかつ状態の良いもの・すぐに売れるレベルのものに対する査定金額です。以下のような問題があると、着物の買取価格が下がってしまうことがあります。
証紙・証明書が無い
証紙・証明書とは、伝統工芸品や有名作家製品が本物であることを証明する紙です。着物には洋服のようなタグ(ブランドタグ)が無いので、この証明書(証紙)がブランディングを証明する唯一の証となります。証紙が無い場合でもきちんとした鑑定士が居ればある程度の高額買取が期待できますが、証紙ありの場合に比べると買取価格が下がってしまいます。
変色・褪色がある
例え一度も着たことがない未着用品でも、保管中の状態によって変色(黄ばみ)や褪色(色あせ)といったトラブルが起きていれば、着用済みの中古品と同じ扱いになってしまいます。
カビが生えている
生地に白カビ等が生えていたり、全体的にカビ臭さがある場合、生地の繊維の奥にカビ菌が入っている可能性が高いため、業者側で専門的なクリーニング対策を取らなくてはならなくなります。そのため査定金額が下がりやすくなります。
シミがある
表側にシミが無いように見えても、着用したことがある着物だと胴裏(着物の裏側)に汗ジミができていたり、裾の裏・袖の裏等に汚れが付いてしまっていることもあります。着物買取専門店の場合、専門のクリーニング業者と提携してシミに対処するため、汚れやシミがある着物を買い取ってくれることも多いもの。しかし美品に比べれば手間がかかりますしランクが下がるので、買取価格が落ちやすくなります。
虫害がある
虫食いがある着物は、大幅に買取価格が下がるか、残念ながら買取不可となってしまうこともあります。また虫害が激しい着物が査定の中に一点混じっている場合、その他の着物も虫害を疑われる可能性が高いです。
【着物をできるだけ高く売るには?】
1)証紙・証明書が無いかよく探してみる:ご高齢の方やお着物が好きな方の場合等、証紙・証明書を別の場所にまとめて保管しているケースも多々あります。遺品等でお着物が出てきた場合には、証紙・証明書が別に保管されていないかよく探してみましょう。
2)着物を虫干ししておく
売る予定の着物は長めに陰干しをして、カビ臭さ等を取っておきましょう。「着物を売る予定だけれど、ちょっと先になるかも」という場合には、その間の保管にも要注意。湿気取りや防虫剤等をきちんと入れて、良い状態をキープしておくことが大切です。
3)鑑定士の居る着物専門の業者を使う
上記の着物買取相場は、きちんとした着物鑑定士が在籍する着物買取に特化した業者による査定金額の想定価格です。通常のリサイクルショップ・古着屋等の場合には鑑定士が居ないため、着物の種類や価値の判定ができず、「伝統工芸品が数百円」といった買取価格になってしまうことが多々あります。良い品物をきちんと高く売るには、着物買取の知識がある業者に売ることが大切です。