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タンスの中の着物

眠っている着物を高く売るには?高額査定に成功するための3つのポイント

「家に全然着ていない着物がある」という方、意外と多いのではないでしょうか?「昔に家族が着ていたけれど、今では誰も着る人が居ない」「年齢的にもう着ない色柄だけれど、譲る人も居ないし」…そんな理由でしまいこまれている着物があったら、思い切って売ってしまう!というのも手ですね。

でも着物を売る時に気をつけたいのが、着物の状態のチェックや買取業者選びです。一般的に見れば「ほんの少しの違い」にしか思えないポイントでも、買取価格が大きく変わってくることもあるんですよ。

買取時の高額査定に成功するための3つのポイントについて解説しましょう。

1.着物の状態をチェックしましょう

着物を高く売るためには、着物が「良い状態」であることが大切。簡単に言えば、「すぐに売れる状態」の綺麗な着物には高い買取価格が付きやすいのです。実際に着物を売る手続きを始める前に、現在の着物の状態をしっかりとチェックしてみましょう。

虫干ししてありますか?

着物は定期的なお手入れをしてこそ、状態をキレイに保つことができます。基本的な管理・保管方法は以下のとおりです。

  • 着用後には必ず陰干しをして汗を飛ばしている
  • 着物は専用のタトウ紙(文庫紙)に包む
  • 通気性の良い桐箪笥、桐箱等に保管する
  • クローゼット保管の場合、和装専用の保管袋を使用する
  • 年に2~3回以上は虫干しをする
このうち最も基本となるお手入れが「虫干し(影干し)」です。虫干しとは、その名前のとおり「虫害(虫食い)」や「カビ」等から衣類を守るために行う一種の日光浴・風通しのこと。しまいこんだ着物の湿気を飛ばし、乾燥させることで虫やカビが増えるのを防ぎます。

【着物の虫干し】
1)虫干しは数日間お天気が続いている、乾燥した日に行います。
2)着物を和装ハンガーにかけます。
3)直射日光が当たらない場所に1日~2日以上干し、湿気をしっかりと飛ばします。陽光が直接当たる場所に干すと日差しによる褪色・変色が起こることがありますので、日陰で風通しの良い場所を選ぶことが大切です。

虫干し(影干し)をしていない着物には、独特の匂いがこもりがち。「最近、虫干しをしていなかった…」という場合には、まず影干しをしっかりとしておいた方が良いでしょう。またこの時に、以下のご紹介する着物の状態チェックを行います。

カビが生えていませんか?

着物カビ
湿度の高い日本で、最も着物に多いトラブルが「カビ」です。カビには以下のような種類や段階があります。

1)白いカビ:表面にポツポツと白いカビが生えます。繁殖量が多い場合には盛り上がるように生えていることも。
2)黄色いシミ:白や薄色の表地・裏地等に黄色・オレンジ色・茶褐色の変色(点々のようなシミ)が起こります。
3)黒~青のカビ:黒・青・緑色のカビが濃いシミのように生えます。

カビが生えていると専門のクリーニングが必要となる他、カビの種類によってはシミ抜きができないこともあるため、買取価格が大きく下がったり、買取不可となる場合があります。特に黄色~茶褐色のシミや黒カビ・青カビ等はシミ抜き処理が困難となることが多いです。

表面に白カビがある場合、初期段階では表面を布等で払うことでカビを目立たなくさせることはできます。ただカビ菌が完全に取れたわけではなく、菌は衣類の中に残っている状態です。特にカビの匂いが残りやすいので、通常よりも長く影干しをして匂いを飛ばす必要があります。

汚れはありますか?

一見するとキレイに見える着物でも、明るい場所でよくチェックすると汚れが付いていることがあります。特に汚れが付きやすい箇所は以下のとおりです。

1)襟周り:ファンデーション等の白い汚れが付きやすいです。
2)胸元、帯の正面側:食べこぼし、飲み物のシミ等、食事関係のハネが付きやすい箇所です。
3)裾:内側等にも泥ハネが付きやすいです。
4)袖口:こちらも内側にも汚れが付きやすいです。
5)胴裏:汗ジミによる変色等が見られやすいです。

少々でも汚れがあると「即時販売」にはできないため、業者側の買取価格は大きく下がります。

泥ハネ等が残っている場合には、よく乾燥させた上で丁寧にブラシで砂を取り除き、汚れを目立たないようにしておいた方が良いでしょう。

ただ「いつ付いたかわからない」という古いシミ、「おそらく油シミ」というシミを発見した場合、ご自宅で無理にホームケアをすることはおすすめできません。特に正絹(シルク)の着物は無理にシミ抜きをすると変色・褪色等が起きてしまい、買取不可となる恐れもあります。

作家の作品・高額商品等で「高く買い取って貰える可能性が高い、でもしみがある…」という場合には、事前に専門のクリーニング点でシミ抜き処理をしておき、万全の状態で買取を行ってもらうというのもひとつの手です。

虫食いはありませんか?

着物を広げてみたら、ポツポツと小さな穴が開いている…これは衣類を食べる虫に食われてしまった跡です。特にウールの着物等は虫害に合いやすく、防虫剤を入れていない保管・風通しの悪い場所での保管では虫食いが起こりやすくなります。正絹(絹)はウール等に比べれば虫害が起こりにくい素材ですが、それでもヒメマルカツオブシムシ等の虫害は起こるものです。「虫食いがある」という場合、どうしたら良いのでしょうか?

1)虫食い箇所が1箇所程度、カジュアルな着物の場合等
虫食い範囲がごく小さく1箇所程度で、小袖等の普段着着物をアンティーク着物ショップに売る…といった場合には、事前にかけつぎ・かけはぎ等の補修を行っておいた方が良いかもしれません。カジュアルな着物ショップでは購入される方が「見た目印象」でご購入を決めるので、「現状で売れる」という状態の方が査定が比較的高額となることもあります。ただしかけつぎ・かけはぎのレベルが低いと買取不可となる恐れもあるため、専門店に依頼をした方が安心です。

2)虫食い箇所が数か所以上ある、作家作品・高額品である場合等
かけはぎ・かけつぎ等の補修箇所が非常に多いと、査定時の金額が下がってしまいがち。せっかく修繕費をかけても買取価格が高くならないこともあるので、無理に修繕をしない方が良いかもしれません。作家作品・高額商品等の場合には、虫食い箇所があっても買取を行う業者もあります。査定額はかなり下がってしまいますが、「虫食いアリ」という点を相談の上で査定をしてもらうと良いでしょう。

2.品質・技術を証明できる品はありますか?

伝統技術によって作られた着物には高い価値があり、買取価格も上がるもの。ただし作られた産地や技術が本物であるかどうかを示す「証拠品」が必要となることもあります。着物のご購入時の付属品をチェックしてみましょう。

証紙・落款はありますか?

証紙(しょうし)」とは、着物の産地や技術を証明する「登録商標」のようなもの。奄美大島紬、泥染、結城紬、博多織等の伝統技法で作られた着物には、産業大臣指定伝統的工芸品であることを示す「証紙」が添えられています。また近年、大島紬等で作られた製品には商品履歴システムを検索できる「履歴書シール」が貼られていることもあります。

また重要無形文化財保持者である作家の作品等の場合には、登録商標として証紙以外に落款(らっかん)が付いていることもあります。これらの「証紙」や「落款」はその着物の品質・技術力・希少価値を表す証明となるため、これがあるだけでも査定額が大きく上がることが少なくありません。

なお証紙・落款が無くても、きちんとした査定士が所属する買取業者であれば着物の価値を判断してもらいやすく、高額査定となることもあります。

購入時のレシート・領収書はありますか?

百貨店内の呉服店や老舗の呉服店、百貨店開催の美術展覧会等、名のとおった店舗で購入をされたという場合には、ご購入時のレシート・領収書等が証紙の代わりとなることもあります。「証紙は捨ててしまったけれど、品名が入ったレシートや領収書なら手元にある」という場合には、査定時にそれらを付けてみるのも手です。

3.着物買取業者を選びましょう

お着物の状態等をよくチェックしたら、いよいよ着物の買取をお願いすることになりますね。この時に大切なのが、買取をする業者選びです。同じお着物でも、買取業者によって買取額が10倍~20倍といった開きが出ることも珍しくないんですよ。

着物専門の買取業者を選ぶ

着物は必ず「着物・和装」を専門に取り扱う買取業者、もしくは和装に強い骨董業者等に買取依頼をするようにしましょう。一般的なリサイクルショップ・ブランド品買取店舗等の場合には、着物はほとんどの場合、二束三文での買取となってしまいます。

これは店舗に着物の価値を診断できる「査定士」が居ないためです。着物にはブランド品と違ってブランドマークやロゴ等が入りませんし、そもそも「誰もが知っている有名ブランド」というものがあまり無いですよね。そのため査定力のある店舗でないと「カジュアルな小紋」も「有名作家作品の一点もの」も全て同じような括りとなってしまい、1,000円~2,000円程度での買取となってしまうことが珍しくありません。

特に紬や作家作品といった高額商品を売りに出す場合には、きちんとした査定士が所属するショップに買取依頼を出すことが大切です。

販売している製品傾向をチェック

買取を行っている業者が同時に中古着物の販売も行う場合、「どのような着物を販売しているか」という傾向を事前にチェックしておいた方が良いです。同じ中古着物販売でも、業者によって「強み」は違います。販売している着物に近い種類の方が、高く買取をしてもらえる可能性が出てくるのです。

 ◯作家作品・伝統工芸品等を多く取り扱う店舗→ 紬、作家着物等は多少難ありでも買取してもらえる可能性が高い。反対に木綿・ウール・ポリエステル着物等は買取不可・低額査定となる場合がある。
 ◯アンティーク着物を多く取り扱う店舗→大正柄等のレトロな柄の着物であれば、多少難ありでも買い取りしてもらえる可能性が高い。ポリ着物・綿着物等のカジュアル着物も好まれる。反対にベーシックな訪問着、留袖、振袖等は買取不可のこともある。
 ◯訪問着・振袖等を多く取り扱う店舗 → 伝統柄(古典柄)の訪問着・留袖・振袖等で状態の良いものならば高額査定される可能性がある。ただし現代的な柄、流行が過ぎた柄の場合には査定額が下がりやすい。

複数のお着物を売りに出す場合、「面倒だから」とまとめて売りに出してしまう人は少なくありません。しかし店舗の傾向をよく把握してから「それぞれの店舗向き」の製品を売りに出した方が高く買い取って貰える確率は高くなります。

無料査定はありますか?

着物買取のプロセスは業者によって異なります。事前に査定(見積)を取り、きちんと納得の上で取引を行う業者を選ぶことが大切です。一般的な着物(訪問着、振袖、留袖等)を売りに出すという場合、査定料無料という業者を選んだ方が気軽に見積を取って貰えるので安心ですね。

なお作家作品、紬、博多織といった伝統工芸品を売りに出す場合、専門家による細かい検証が必要となるため「査定料が別途必要」となる店舗もあります。

返品時の送料・手数料をチェック

無料査定を依頼する場合、万一査定に納得いかなかった場合の「返品送料・手数料」がどの程度発生するかをよく確認しておきましょう。悪徳な業者の場合、「査定は無料だが、返品送料に4~5,000円もかかる」といった設定になっており、安い査定に泣く泣くOKする…といったケースが見られます。

ネットオークションで自分で売れる?

「買取業者に売るよりも、自分でヤフオク等で売った方が高く売れるかも…」と考える方も多いと思います。ただ残念ながら、着物をオークションで売るのはかなり難易度が高いです。これには以下のような理由があります。

・安価な価格を付けないと入札が入らない:専門業者による品質証明等が無いため、安価な製品にしか手を出さないひとが多い傾向があります。
・実績をある程度付けておく必要がある:高額商品となる着物の場合、オークション内での評価が高い人でないとなかなか入札が入りません。
・状態チェックの不備によるトラブルが多い:安易な「美品」という説明はトラブルの元。着物の場合、シミ・カビといった出品者が気づいていなかった欠陥によるトラブルが多発しています。
・採寸ミスによるトラブルが多い:着物の採寸方法は洋服とは異なります。採寸ミスで誤った寸法等を記載してしまうと、これも返品依頼等が来る可能性大です。

普段からネットオークションでよく出品をしている、更に着物の扱いに慣れている…という人であれば、オークションもうまく利用できることでしょう。しかし「着物にほとんど触ったことが無い」という方の場合には、プロである業者に買取依頼をした方が良いかもしれません。

さいごに

眠っている着物を高く売る3つのポイントはいかがでしたか?古典的な着物は洋服とは異なり、流行に左右されるということがほとんどありません。古いものでもきちんと保管をされているものなら、ビックリするほど高い額で買い取られることもあるんですよ。「とても昔のものだから…」と諦めてしまわずに、まずはお着物を出してみて、状態をチェックするところからスタートしてみましょう。

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