着物産地

伊兵衛織

伊兵衛織の特徴や歴史は?買取に出す時の注意点も解説!

生産が終わってしまい、もはや新しい製品を手に入れられない着物…日本の着物や帯には、このような希少価値の高いレアものもたくさんあります。「伊兵衛織(いへえおり)」も、そんなレアな着物のひとつ。今後の生産が見込めない、大変貴重な織物・着物です。

通人好みと言われた「伊兵衛織」は、現在も多くのきもの通に好まれており、着物買取業者の間でも買取価格の高い着物となっています。今回はそんな伊兵衛織について、その歴史や特徴、また買取業者に売りに出す場合の注意点等を詳しく解説していきましょう。

伊兵衛織とは?

伊兵衛織とは、静岡県浜松市・高林家で生産されていた絹織物の一種です。高林家の当主名として受け継ぐ「伊兵衛(いへえ)」の名前が冠されています。伊兵衛織は静岡県浜松市の伝統工芸品である「ざざんざ織り」の流れを汲んでおり、その生産方法などにはざざんざ織りとの共通点が多く見られます。

「伊兵衛織」は製作者が茶人・文化人との交友関係から影響を受けたことで、素朴でありながら粋で深みがあるという独特の雰囲気を持つ織物として人気となりました。現在も多くの茶人や着物ファンを虜にする着物として知られています。

伊兵衛織の歴史

伊兵衛織の歴史を語る上では、民芸運動の存在を外すことができません。民芸運動とは、大正15年より開始された「日常的な日用品の中に用の美を見出す運動」のこと。この運動の創設者は柳宗悦という思想家・美学者ですが、彼と共に運動を推し進めたのが静岡県・浜松市の庄屋であった高林氏--伊兵衛織の中心となる、先代の伊兵衛氏であったのです。

1931年には、伊兵衛氏は浜松市の自宅敷地内に日本民藝館を開設。戦後に入ると「ざざんざ織り」の流れを汲んだ織物業が本格的に行われるようになりました。糸・染色・柄のそれぞれに強いこだわりを取り入れた織物は「伊兵衛織」と名付けられ、全国に知られるようになったのです。

そして伊兵衛織工房を受け継いだ高林淑子さんによる品の良い手仕事は、近年に入り着物業界における「織物ブーム」の一因ともなります。

しかし伊兵衛織の原料である「玉繭(たままゆ)」の在庫がほとんどなくなり、国産手紡ぎ糸による生産ができなくなったことから、高林さんは「伊兵衛織」の生産終了を決意。2013年10月に銀座で行われた個展が最後の展示となり、手持ちの絹糸の在庫が終わり次第、生産を終了することが発表されました。

iheeori-youtube浜松の伊兵衛織工房様の廃業に伴い遠州綿紬卸業の大高様が譲り受けた玉糸を使う「伊兵衛織工房撚糸機」・・・・1

伊兵衛織の作り方

玉繭の使用

玉繭
伊兵衛織を作るにあたって欠かせないのが「玉繭(たままゆ)」の存在です。玉繭とは、2頭の蚕(かいこ)によって作られる繭のこと。2頭の蚕が一つの繭を作るため、複雑に絡み合う独特の「フシ」が生まれます。そのため玉繭からは、一般的ななだらかな絹糸は作ることができません。

この玉繭を手紬すると、糸の太さは通常の4倍にもなります。この太い糸を使って織り上げることで、伊兵衛織独特の織りの風合いが生まれるのです。

座繰り(ざぐり)

伊兵衛織の糸紡ぎには、座繰り(ざぐり)という木製座繰り機を使い、手で生糸を巻き取る製糸方法が用いられます。機械で製糸をするのに比べて質感が優しくなり、また糸の太さが不均一になるのが特徴です。

この方法で作られた糸は「座繰り糸(ざぐりいと)」と呼ばれます。

染色

座繰り糸は職人の手によって、様々な色合いに染められます。伊兵衛織の色味はかなり個性的。民芸的でありながらシックで優美な色合いが、人気の秘密ともなっています。

手織り

伊兵衛織の織り方はすべて手織りです。遠州木綿を織る際に使われた手織り機(ておりき)を使い、少しずつていねいに織られていきます。

伊兵衛織の特徴

重くしっかり・あたたかな作り

太さのある糸を使って織られた伊兵衛織は、重さが通常の着物の1.5倍近くにもなります。大変しっかりとしており、冬でも単衣(ひとえ)で着ることができるほどです。

しなやかでシワになりにくい

「重くしっかり」というとゴワゴワしているような印象がありますが、伊兵衛織の触り心地は実にしなやか。これは原料と手織りにこだわった結果と言えるでしょう。シワになりくくく、肌触りもしっとりとしていてなめらかです。

「長時間着てもシワになりにくい」というのは、着物好きにとって大きな魅力となります。そのため伊兵衛織は「着やすい、疲れない着物」として多くの人に好まれているのです。

個性的でセンスの良い色合い

民芸的な製品の場合、素朴な美しさはあるものの、お茶会やお茶のお稽古といった場には使いづらい…そんな色合いのものが珍しくありません。

しかし伊兵衛織には個性的でありながらスッキリとした色合い・センスの良い色使いのものが多く、趣味の場に着る着物としてお召しになる方が大勢居ます。「伊兵衛織の買取価格が高い」という理由にも、このような「様々な場に着てきやすい」「きもの愛好者の需要が高い」という点が挙げられるでしょう。

伊兵衛織を買取業者に売りに出す場合の注意点

伊兵衛織はリサイクルショップに出してはダメ!

伊兵衛織工房が閉鎖したことで、希少価値が高まるばかりとなっている「伊兵衛織」。しかしこのような着物の価値の高さが伝わるのは、呉服業界や着物に詳しい人達の間のみと言えます。

一般的なリサイクルショップや質屋などでは、伊兵衛織等を見分ける力を持ったスタッフが在籍していません。せっかくの貴重な着物を売りに出したにもかかわらず、「普段着着物」のような価格で買取になってしまう可能性があるのです。

伊兵衛織のような通好みの着物は、リサイクルショップやセカンドショップではなく、着物専門の買取業者を選んで売りに出すようにしましょう。着物の鑑定士が在籍している業者に査定を出せば、高額買取となる可能性も高いです。

伊兵衛織は古い着物でも高額買取の可能性アリ!

材料や織りにこだわった「伊兵衛織」は、時間を経るごとに生地がしなやかに柔らかくなり、着心地が良くなるという特徴もあります。また色味も徐々に深さを増して、織りの美しさが際立ってくるのです。

そのため状態の良い伊兵衛織は、10年前のもの・20年前のものでも十分に需要があります。「古い着物だから…」と売るのを諦めることはありません。

ただしシミ汚れや虫食い・カビといったトラブルがあると、伊兵衛織の買取価格はグッと下がってしまいます。「いずれ売ろうかな」と考えている伊兵衛織があれば、できるだけ良い状態をキープできるように保管に気を使うことも大切です。

おわりに

伊兵衛織の特徴や注意点はいかがでしたか?生産が無いことから、伊兵衛織の買取価格が下がるということは今後考えにくいところでしょう。ただし伝統工芸品の認定を受けた製品ではないので、やはり価値の伝わる専門家に見てもらうことが何より重要ではないでしょうか。

関連記事

  1. 江戸小紋

    江戸小紋とは?特徴や歴史は?買取時の注意点も解説!

  2. 茜染とは?

    茜染とは?南部茜染の特徴や買取に出す場合の注意点

  3. かいこ

    綾の手紬とは?特徴や着物を買取に出すポイントを解説!

  4. 伊那紬

    伊那紬の特徴や歴史・買取に出す時の注意点を徹底解説!

  5. 上布(じょうふ)

    上布とは何?会津上布・越後上布の違いや上布着物を売る時のポイント

  6. 牛首紬の特徴や歴史は?買取価格を上げるための注意点も解説

着物クリーニングふじぜん

最近の記事

  1. 着物の袖口
  2. 着物の衿汚れ
  3. 着物 ファブリーズ
  4. タバコの匂い
  5. 江戸小紋
PAGE TOP