着物産地

川平織

川平織とは?特徴や歴史、手放す時の注意点等を解説

呉服業界で扱われる高価な品々は、必ずしも総務省認可の伝統工芸品ばかりとは限りません。染色作家・織物作家等によって新しく生み出された織物の中にも、その美しさや希少性から高い価値をつけられているものは沢山あります。

「川平織(かびらおり)」も、そんな作家作品のひとつです。お着物がお好きな方でしたら、その名前は聞いたことがあるでしょう。またご家族が着物通で洒落た方なら、非常に稀なことではありますが、タンスにある着物が川平織…という可能性も考えられます。ここでは川平織について、その概要や歴史・特徴、また着ない川平織を手放す場合の注意点等について詳しく解説をしていきます。

川平織の概要

川平織(かびら-おり)とは、日本工芸会正会員である深石美穂(ふかいし・みほ)さんが制作した草木染織生繭布の反物のこと、ならびにその反物から作られた着物のことです。石垣川平織(いしがき・かびらおり)と呼ばれることもあります。

「川平」という独特な名前は、深石氏が工房を構えた地、沖縄・石垣島の川平湾(かびら-わん)から取られました。川平湾は、石垣島の紹介記事・観光記事では必ず登場すると言われるほどの有名な絶景スポット。美しいエメラルドグリーンの海と緑豊かな島々が織りなす光景は、その美しさから「日本百景」にも選ばれています。

川平湾から名付けられた「川平織」も、沖縄のたっぷりとした光を浴びた色鮮やかな自然の美しさを閉じ込めたかのような魅力のある織物です。石垣島に生成する草木から生まれた染料による絶妙な色具合、経緯絣の美しい絣具合、透明感のある風合い…その美しさは初出荷直後から、着物通達の注目を浴びました。

伝統的な技法を取り入れながら複雑かつモダンなデザインを取り入れている「川平織」は、その希少性や業界における高評価等から、中古の反物・着物も高値で取り扱われています。

川平織の歴史

川平織を製作されている深石美穂さんは、1970年代に武蔵野美術大学で美術を学んだ後沖縄に渡り、「みんさー織」「手結絣」等の沖縄の伝統工芸技術を学びました。その後1982年には沖縄・石垣島に「からん工房」を開設。草木染絣織による製品制作をスタートします。

深石氏はその後も製品制作と並行し、技術や染料の材料となる藍等の研究・勉強を継続。1984年には生繭(なままゆ・せいけん)から生糸を作る『座繰り』も学んでいます。様々な技術の結晶として織り上げた「川平織」が初出荷されたのは1993年のことです。

深石氏が学んできた沖縄の伝統的な技法に現代的なセンスが加わった「川平織」は、作家・立松和平氏の目にも止まることに。着物専門誌『美しいキモノ』(ハースト婦人画報社)で立松氏が連載していた「染めと織りと祈り」に掲載され、川平織は一躍多くのきものファン達に知られるようになりました。

深石氏はその後、朝日新聞社銀賞、沖縄県商工観光業賞等を受賞。さらに2011年には日本伝統工芸染織展にて、最高賞の文化庁長官賞を受賞される等、高い評価を受け続けています。2000年代に入ってからは京都・銀座等の都市部でも個展を開く等、都市部での活動も活発に行われるようになりましたが、現在でも作品制作は沖縄・石垣島で継続中です。

染料も石垣島で取った自然のものから手作り、糸にもこだわり…といった工程のため、川平織は大量生産をすることができず、生産数は非常に限られています。そのため希少性は非常に高く、マニア垂涎の「幻の着物」とも呼ばれています。

川平織の特徴

自然素材の染料による美しい発色

琉球藍
川平織では、染めのための原料に基本的には工房の周辺地・石垣市で取れた植物を用いています。例えば沖縄地方でよく見られる「福木(Garcinia subelliptica、英語でHappiness Tree)」の他、沖縄伝統工芸品でも使われる「琉球藍」などが挙げられます。

これらの自然素材を使った草木染というと、渋く穏やかな色合いを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし川平織は、一般的に想像される草木染に比べて非常に発色が良いのが特徴です。これも深石氏の長年の染色研究の賜物と言えるでしょう。

複雑な織り

首里道屯織(ロートン織)YouTube 首里織ができるまで 那覇伝統織物事業協同組合

川平織では、製作者である深石氏が学んできた首里道屯織(ロートン織)、みんさー織り等の琉球織物の伝統的な技法をそこここに見ることができます。しかしその織りの技法はただ受け継がれただけのものではなく、深石氏による独自のアレンジが加えられているのが「川平織」の特徴です。

経緯絣(たてよこがすり)の絶妙なずらし具合によって生まれる複雑かつ絶妙な柄は、多くの着物好きたちを虜にしました。その風合いの美しさは、写真よりも現物を見た時にさらに納得できるものでしょう。しかし残念ながら、川平織の「現物」を生で見ることができる機会はなかなかありません。

川平織を手放す場合の注意点

上記のように様々な魅力を持つ「川平織」ですが、着物の格で考えると「おしゃれ着」として着る着物となります。川平織を手に入れたものの、身につける機会がなかなか訪れず、一度も手を通さずにしまったまま… 着物好きの方の中には、そんな人もいらっしゃるかもしれません。

また近年では、お着物が好きだったお祖母様やお母様が「川平織」を持っていたが、遺された家族に女性が居なかったり、着物を着る人が居ない…とお困りになっているケースも多いようです。このような場合、中古品の買取業者等に売りに出すことを考るケースもあることでしょう。

しかし適当に取引する業者を選んでしまうと、せっかくのお着物を二束三文で手放す結果となる可能性も出てきます。川平織を手放す際の注意点についてまとめてみました。

着物鑑定士が在籍している中古買取業者を

川平織を売りに出す場合、まず「着物を専門に扱う業者」を選ぶことは絶対条件です。一般的な貴金属全般・毛皮等を扱う中古買取り店等を選ぶのはやめましょう。またさらに手軽なリサイクルショップ等を選ぶのはもちろんNGです。

川平織は着物通の間では非常に希少価値のある人気の着物ですが、一般的な認知度は残念ながらほぼありません。多少着物を扱う中古ショップでも、わかるのは一般的な伝統工芸品着物程度までである可能性が高いです。

つまり本来ならば高い価値と買取価格をつけられるはずの川平織に対して、驚くほど安い買取価格が提示されてしまう恐れがあります。いくら見積もり無料の業者が増えたとは言え、いちいち業者に着物を持ち込んだり、査定に来てもらってから「こんな価格?」という結果になるのは避けたいところです。

川平織りの正しい価値をスムーズに理解してくれる着物鑑定士・着物専門の査定士が在籍している買取業者を選びましょう。

証書の確認をしておきましょう

川平織には反物に独特のタッチで書かれた証紙がついています。お着物がお好きな方でしたら、証紙を手元に残されている可能性も高いです。

もちろんプロの着物査定士であれば、証紙がなくても川平織を見分け、価値に見合った買取金額を出してくれることでしょう。しかし証紙があった方が、やはり買取金額は上がります。反物やお着物とは別に証紙をまとめていらっしゃる方も多いので、一度お探しになってみることをおすすめします。

おわりに

川平織の特徴や歴史、手放す時のポイント等はいかがだったでしょうか?川平織の反物・着物の価値は今後も益々上がっていくものと考えられています。とは言え状態が悪かったら、着物として楽しむことはできませんし、大幅に価値が下がってしまう可能性も大です。今後も保管していくのであれば、虫害や日焼け・カビの発生・変色等が起こらないよう、徹底した管理・保管を行うようにしましょう。

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